台湾へのセーリングの旅について

色々、ご質問を頂くので、この場で今回の旅について少し説明させてもらいます。

今回の石垣島から台湾への旅は、シリーズ物で2007年、九州から沖縄(屋久島から奄美は除く)メンバー、ダグラス シンプソン、仲村忠明、ダニエル エリオット、エバン シンプソン ホーボージュン、大瀬志郎の6名。次は2010年、沖縄から宮古島まで。メンバー、ダグラス シンプソン、ダニエル エリオット、エバン シンプソン、大瀬志郎の4名。その次は2012年宮古島から西表島。メンバーは2010年と一緒。そもそもダグは、2007年の時点で一気に九州から台湾まで渡ろうとしており、その構想でいうと、トカラ列島の区間と西表島から台湾の区間が残っている。そしてダグはどうしても台湾には渡りたいみたいで、毎年やろうやろうと言っていたのですが、フェザークラフトがファクトリーを閉めるということもあり、なかなか旅の計画が立てられませんでした。それが今年、ついに実現することになりました。メンバーはダグと大瀬の二人。

カヤックはフェザークラフト K2(二人乗り)を使用します。セール、エイクは仲村忠明メイドのサバニスタイル。二人乗りでリアシートで帆を扱います。漕ぐ時はシングルパドル(サバニのエイク)で二人で漕ぎます。帆走してる時は基本、フロントシートは休憩です。フロントシートはコックピットに潜り込んで寝ることもできます。4時間交代でカヤックの上で入れ替わります。次の島に着くまではずっとそれが続きます。慶良間から宮古島までは、72時間かかったので、三日三晩カヤックの上で過ごしました。

今回もそうですが、石垣島から一気に台湾へ渡るわけではなく、西表島、与那国島と刻んでいきます。いい風を待ちながら、美しいコーラルビーチキャンプやはたまた漁港にお世話になり、地元の食を楽しんだり、ウミンチュや島の人と交流して情報を得ながら旅を続けます。

石垣から西表島はすぐ、西表島から与那国が80kmくらい。与那国から台湾は直線で110kmくらいです。セーリングカヤックの機動力を持ってすれば、それほどたいした距離ではないのですが、与那国から台湾の間は、南から北へ時速5kmで黒潮が流れているので、時速6kmから7kmのカヤックで普通に漕ぐと北へ流されてしまい、台湾にたどり着けません。漕ぎだけで渡るのは非常に困難(不可能?)です。北寄りの風が吹くと時速5kmの黒潮とぶつかり、恐ろしいほど海が荒れます。そのため、我々に必要なのは、海の荒れない適度な東よりの風(南東から東)が必要です。


2012年のメンバー、石垣島、登野城港にて。ローカルウミンチュと。

出国について
カヤックで台湾へ渡るにも日本を出国するので、出国の手続きをせねばなりません。石垣港に海上保安庁、入国管理局、税関の合同庁舎があります。そこに行って海上保安庁に許可をとり、その後、パスポートにスタンプしてもらわないといけません。(なんとしても!)海上保安庁には2012年の時に出国許可をもらっているので、大丈夫だと思うのですが、これから申請にいってきます。

今後のルート
まずは石垣島から西表島にわたります。北西部の干立(ほしだて)という集落に友人の飯田晋平がいるので、ここをベースに与那国渡りの風を待ちます。

与那国にわたったら、久部良港をベースに台湾行きの風を待ちます。

台湾のどこにつくかは潮と風任せですが、基本的には、フェリーグライドで潮を横切り、最短ルートをいきたいと思います。北のマージンをとりつつ、仮に流されてもなんとか台湾にヒットしたいと思います。尖閣諸島にだけは流れつかないようにしたいと思います。台湾についてからのことは、ついてから考えようと思います。

通信装備
ダグが衛生電話とinReachという発信器を持ってきます。inReachから発信する電波でウェブ上で友人や海上保安庁にウォッチしてもらいます。
https://www.garmin.co.jp/products/outdoor/inreach-explorer-plus/

ナビゲーション
ガーミンのGPSとコンパス、海図(チャート)を使用します。

今回の旅の協力、サポート、情報提供

エイアンドエフ社 赤津孝夫氏、大介氏
初回の旅から始まり、今回の旅も全シリーズに及び、個人的にも多大なサポートを頂いています。Hillberg テント等の提供、貸し出し。

沖縄カヤックセンター 仲村忠明氏
参加は初回の旅のみだったが、全シリーズ通して、セイルとエイク(パドル)を提供。また判断等、多大なアドバイスを頂いています。

Featehrcraft社
もちろんフェザークラフト社のサポートがなければ、この旅は始まりませんでした。Thanks Featehrcraft,Theresa,Dan,Evan and all feathercraft staff.

高階救命器具
BlUESTORM ライフベスト、ウェア類の提供

伊東孝志氏
オブザーバーとして陸上よりサポートして頂いています。

ケープパイミ 飯田晋平氏
前回の旅から西表島でサポートして頂いています。

バジャウトリップ 赤塚義之氏
前回の旅から西表島でサポートして頂いています。

ちゅらねしあ 八幡暁氏
現地ガイド、海渡りのスペシャリストの八幡君にルート、時期について相談し、アドバイス頂きました。

その他、協力メーカー
Nanga、SPOONFUL

最後に

その他、すべてのフェザークラフトユーザー、当店ユーザー、友人、家族から多大な支援を得て、この旅が成り立っています。旅ができることは贅沢なことです。そして、こんな特別な旅は誰もが出来ることではないと思います。その幸せを噛み締めながら、意義のある旅にして心から楽しみたいと思います。今までカヤックの旅から様々なものを吸収させてもらいました。そしてその旅の一つ一つが僕や家族の人生に大きな影響をもたらしています。今回の旅は、今まで以上に僕にとってGranstream(大きな流れ)なものになると思います。台湾へ渡れるかどうかはわかりませんが、きっちりと海そして黒潮に生身で向き合って来ようと思います。また今後のタイムリーな情報は、フェイスブックの大瀬個人のページで発信させて頂きます。https://www.facebook.com/shiro.ose.1 一緒に黒潮に向き合っていただければ幸いです。それでは皆さんもよい旅を!