カヤックでアクセスした無人のキャンプサイトにて、焚き火と旬の真牡蠣を楽しむというこの企画。瀬戸内海、岡山県は日生まで行ってきました。日生は岡山県でも一番東に位置する港町、近畿圏からのアクセスしやすいエリアです。日生周辺の海域は適度な間隔で島が点在し、潮流もそれほど速いわけでもないので、瀬戸内海のビギナーには最適のエリアだといえます。
参加者と日生の市場で集合、牡蠣とシラサエビ、みかんを買い込み、カヤックを組み立て、キャンプ道具、食糧、水を積み込み、港に漕ぎ出した。天気は晴、風は微風の向かい風、海は凪、絶好のパドリングコンディション。しかし潮流が速くないとはいえ、潮の流れはある。漕いでいると漕ぎ感が重くなったり、軽くなったり1人力パワーのエンジンは潮の流れに翻弄されながらも1時間ちょっとで目的のキャンプサイトに到着した。ドライスーツを脱ぐと寒いので慌てて火を起こす。流木が豊富なビーチなので薪木には困らない。天気は夕方から下り坂、タープを張り、雨に備える。メインのヒルバーグのタープに加え、焚き火の上に張る難燃素材の焚き火用のタープを持ってきた。雨に備えての準備は万端だ。僕はタープ、参加者はテントを張り、海の幸の晩餐の準備に入る。シラサエビの唐揚げに始まり、生牡蠣(僕だけ)、牡蠣のバター焼き、牡蠣ご飯に牡蠣鍋。海を背景の焚き火を前に夜ふけるまで、晩餐は続いた。僕は久々に焚火繭(寝袋)にくるまり、タープの下で寝た。雨が夜通し降っていたが、雨がタープを叩く音は僕は嫌いではなく、焚き火の暖かさを寝袋越しに感じながら、朝まで熟睡した。朝目覚めると、タープが雨で潰されて、僕は潰れたタープの下敷きになっていた。風がなかったのでいい加減に張ったのがいけなかった。直そうと思ったが、まだ雨が降っていたのでそのまま二度寝してしまった。自分でも感心する「どこででも寝る能力」だ。
雨があがり日が昇り出すとみんな起きてきたので、火を起こし、コーヒーを入れる。僕は必ず、朝、ドリップコーヒーを入れる。焚き火で沸かしたお湯で入れたコーヒーはいつもうまい。コーヒーを飲んでいると参加者の一人が海をみて「何かいる!」と呟いた。僕も海をみているとヌルッとした背中が海から出てきた。スナメリだった。スナメリは体長2m程のネズミイルカ科のイルカの仲間。瀬戸内を漕いでいると3回に1回くらいの割合で出会うことができるが、キャンプサイトから見たのは初めてだった。雨をもたらした前線が離れていき、日が差してきたのでテントとタープを乾かし、荷物をまとめ、その浜を後に漕ぎ出す。潮が逆なのかパドルが重いが、牡蠣筏の間をぬいながら漕ぐ進む。岩場からたまにピィッとミサゴの鳴き声が聞こえる。この海はトビよりミサゴが多い。ミサゴが多いということはミサゴの食料になる魚が豊富だということだ。ミサゴとスナメリの海。今度はドライスーツの必要のない季節にまた漕ぎにくるとしよう。
ご参加のみなさま、いいメンバーでいい旅でした。ありがとうございました。
海図/播磨灘北西部 4万5千分の1
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