2021年 グランストリームの方向性


2020年も思い返せば、漕いで旅をしました。2月は紀伊半島、潮岬。3月はカナダBC州バンクーバーアイランド、5月は瀬戸内海、島根半島。7月は北海道、知床、礼文島。10月は奄美大島、沖縄本島。11月は瀬戸内海。その合間をぬって、琵琶湖、若狭とよく漕ぎました。高校を卒業し、カナダに渡航するはずの長男が渡航できなくなったので、一緒に漕ぎ、いろんなことを伝える時間を持つことができました。カヤックやアウトドのスキルはもとより、草刈り、薪作り、日曜大工。都会から少し外れた場所で生きていくためのスキルをじっくり伝えることができたと思います。そして長男にカヤックで海を渡るということを伝えた時、はっきりとあることに気付きました。

カヤックで海に向かう時、海、天候の知識が必要です。技能、体力が必要です。そしてその知識をもとに自分の技能、体力が海や天候に通用するのかという判断力が必要です。そして、自分がどこへ進んでいくのかという明確な目的と意識が必要です。そして決めたことを貫く意志、もしくは途中で止めるという決断をする意志が必要です。これはいつもカヤックの旅を志す皆さんにお伝えしていることですが、改めて息子に伝えてみるとこれは人生と向き合う姿勢そのものだと思いました。アウトドアやシーカヤッキングはレジャーとされています。もちろん単に楽しさや快楽を求めるレジャー的要素もありますが、自然の中に入っていく過程で、人間の奢りを多少は捨て、自然により添い、自分を自然にフィットさせていこうとする姿勢の先に本来の喜びや楽しみがあるのだと思っています。そして自然の中での遊びの中から私たちが自然と共存していく生活、ライフスタイルのモデルが見えてくるんだと思っています。グランストリームでは、カヤックでの旅を通じ、2021年も引き続き、自然に寄り添う遊びや時間を皆さんにご提案していこうと思います。

写真は、2020年の7月、北海道、知床半島を漕いだ時のものです。風が強く、2日間、浜に閉じ込められた後、漕ぎ出そうとカヤックに荷物を詰め込んでいた時でした。目の前の大きな岩の上に一羽のカラスがとまって、こっちにカアカアと泣き叫んできました。何かこちらに語りかけてきてる感じがしたので、まさか熊でも来るぞと教えてくれてるのかなと想像してみたりしました。何か気になり、漕ぎ出しの準備を進めながらも、チラチラを背後を気にした時でした。知らない間に2、30mのところのノリ面で茶色い大きな物体が、モシャモシャと草を食べてます。大きなヒグマです。ヒグマは全くこっちをみることも無く、草を食べ、ゆっくりとノリ面を登って上の台地へ戻っていきました。やっぱり岩の上にいたカラスからは台地を歩いてこっちに近づいてくるヒグマが見えていて、知らせてくれたのでしょうか。数分の出来事でしたが、不思議な忘れられない経験となりました。

2021年も自然を楽しみましょう。宜しくお願いします。

グランストリーム代表 大瀬志郎