冬の日本海合宿。今年の合宿は例年にない雪のない静かな海況。とはいえ目まぐるしく変わる冬の天候の中、ドライスーツを着ての荒れた海を漕ぐための講習を近藤さんと二人講師体制で二日間きっちり行った。
カヤックで荒れた海を漕ぐために、重要なのは2つ。
1、腕だけではなく、腰を使ってパドルを動かすこと。
これは荒れた海を漕ぐためだけでなく、長い距離を漕ぎ続けるには必要な要素。カヤックを漕いでいてすぐに疲れるという人は腰を使って漕げていない。腰を動かして、足の踏み込みも含め、全身の連動を使えれば、適度な休憩で1日、漕ぎ続けることが出来る。実際にこの体の使い方を教えた当店の受講者であれば、女性でも1日、40km漕げるようになるし、小学生でも(5、6年生)は、1日、20kmを楽に漕ぎきれるようになっている。
2、次にリーン(カヤックを自分で傾けて、その傾けをコントロールするテクニック)という動作を身につけ、リーンをしたまま腰を使って漕ぎ続けること。
当たり前のことだが、荒れた海は静水のような平らな水面ではない。水面が傾くということは、自分でカヤックを傾けないとカヤックは水平な位置を保てないということだ。この水平を保とうとする動作を、カヤックのデッキをを内側から膝で押して、カヤックを傾けておこなおうとすると腰の動きがロックされ、腰を使って漕ぐことが出来なくなる。上記で述べた1の漕ぎ方が穏やかな海況だと出来るのだが、荒れた海況だとバランスをとるのに精一杯で腰がロックされてしまい、急に腕漕ぎになってしまう人がいる。それを解消し、荒れた海でもリーンをかけ続けたまま、腰を動かして漕ぐには体の重心をずらしてカヤックをリーンさせる必要がある。体の重心をずらせば、それだけでカヤックは傾くし、腰の動きもロックされることはないので、リーンをかけたまま腰を動かして漕ぎ続けることが出来るようになる。
もちろん、上記意外にも限界を越えてカヤックがひっくりかえりそうになった時のパドルを使ったリカバリー(復元)動作も必要になってくるが、上記の1、2の漕ぎができれば、荒れた海でのカヤックの安定感と疲れ方がまったく変わってくる。サイドにあるエアースポンソンの安定性能に守られたフェザークラフトユーザーは、リジッドカヤックユーザーに比べ、リーンの能力やリカバリーの能力が著しく低い。そこそこの海況を1日、40kmくらいは楽に漕ぐ能力のあるフェザークラフトユーザーが今までの日本海合宿である一定の限界点を超えると一気に沈(カヤックがひっくり返ること)する姿を見るにつけ、その結論にたどり着いた。エアースポンソンに守られたフェザークラフトユーザーはリジッドカヤックユーザーがまず身につける必要のあるテクニックを身につけずに旅にでれてしまうということだ。今後、沖縄から奄美大島までの外洋ルートや五島列島なのでの激潮マークがつくような海を目指すユーザーは、リーンを身につけた漕ぎをマスターする必要性があると感じてきている。
夏にカサラノデイというイベントでそういうスキルアップのトレーニングを行っているが、冬にこういう細かな技術講習をおこなったのは初めて。しかし寒い海でやる細かなスキルアップにも意味を感じたし、リーンをマスターしてもらうための新たなメソッドも開発できた。参加のみなさん、お疲れ様でした。今シーズンもいいシーズンにしましょう!荒れた海を漕ぐためのリーン講習、ご希望の方はご連絡下さい。お待ちしております。