さっさとやれば良かったのですが、構想10年のコースを先日漕いできました。越前〜敦賀半島〜常神半島〜常神半島〜蘇洞門〜大飯半島〜高浜と比較的15kmづつくらいでエスケープポイントがあり、コース的にも退屈せずに漕げる60kmのロングのトレーニングコースではないかと思っておりました。沖縄から奄美間の島渡りは外洋を60km漕がねばならないセクションがあります。沖縄から奄美の島渡りをやるのであれば、ほぼ潮流やうねりのないこの時期の若狭であれば、サクッと漕げないと先には進んでいけません。そういうことで漕いでみました。
漕ぐ必要が数人であれば、サポートカーをつけて脱落者を途中でピックアップする体制をとろうと思っていたのですが、今回は私含め、2名だったため、まあ行けるところまでいければいいかという感じでサポートカーなしでやりました。
海況にもよりますが、カヤックのスピードは6、7km。長距離漕ぐ場合は、50分漕いで10分休む。時速6kmの場合、10分で1km進むので、50分で5km進むことになる。よって休憩を含めると1時間で進めるのは約5km。60km漕ぐには、順調に漕ぎ続けて12時間かかるということになる。
そして天候が安定している午前中にどれだけ距離が稼げるかが勝負。できれば4時に出発して、10時には30kmを漕いでおきたい。そしていかに疲れをためずにサクッと30km漕ぐのかも重要。そうしておけば、その後の展開が楽になる。
今回の出発は、5時。日の出は4時50分くらい。4時には漕ぎ出せるくらい明るかったが、出発地点は強く冷たいオフショアが山から吹き下ろしてきていたので、完全に明るくなる5時出発に変更。少し漕ぎだすと敦賀湾の奥からさっきとはうってかわったムワっとした熱風が海を吹き渡ってきた。太陽が登ると同時に強くなり、敦賀半島に渡りきるまでには6、7mのオフショアとなり、外に出されないようにバウを内側に向け、フェリーグライドで漕ぎ進む。休憩なしで2時間漕ぎ続け、8kmしかすすまず、いきなりのペースとパワーをロスした。簡単には60km漕がせてくれそうにない。
越前からの遠景。手前の大きな岬二つは敦賀半島。遠くに見える小さな三角の山が常神半島先端にある御神島。その奥の高い山は蘇洞門の久須夜ヶ岳。うねりもまったくなく、コンディションはよかった。逆に追い風等のコンディションに恵まれないと60kmはなかなか漕げない。できればオフショアとなる南風より北よりのオンショアがベター。南風は外に吐き出されるので要注意。
岬を回り込み風裏に入るとさっきまでが嘘のようなミラーフェイスの海。
敦賀半島の先端の海岸線。
この辺りのランドマーク、御神島。昔の船乗りもこの島を目印にしただろう。常神半島手前の沖で向かい潮を感じた。
Granstreamホームの常神。ここまで一気に30km、7時間半。この日、ここで一度だけ上陸して20分だけ腰を伸ばす。向かい風ではないが、向かい潮とオフショアをしのいでのフェリーグライドで6時間の予定より1時間半、遅れた。
蘇洞門沖を漕ぎ進む。少し向かい潮を感じた。海況はいいが風がなく暑い。海水温が低いので陸上よりはマシだが、時折、陸から吹いてくる風が熱風だった。水分をしっかり補給し、熱中症に注意。洋上で熱中症になるとちょっと厄介だ。この辺りから、目的地の先の成生岬や丹後半島、冠島が見えてきた。その先のコースも魅力的だ。
小浜湾の入り口を超え、大飯半島に差し掛かったところから、高浜までの最後のバックストレートとなる。この辺りで45kmを超える。時間は16時、小浜の日没は19時、あと3時間。最後は軽い向かい風だが、疲れた身体に重くこたえる。50kmを越えたあたりから身体がきしみをあげてくる。50kmならこの時点で上陸して1時間休める。しかし60kmは休めない。そこが50kmと60kmを1日で漕ぐことのの大きな差になる。
最後の残り5kmは、神様のきまぐれか、プレゼントなのか風も止み、無風の中19時過ぎに上陸、無事に60キロを走破した。上陸後、二人は高浜の居酒屋に駆け込み、祝杯をあげ、キャンプ禁止の上陸した公園でそのまま芝生に転がって朝まで死んだように眠ったのでした。
最後は高浜の気持ちのいい公園でゴール。高浜観光協会の須藤くん、西野自動車のお母さん、お世話になりました。
途中では、「もう2度とこんなことやらねえし、誰にもすすめねえ。」と悪態をついていた参加者も朝目覚めると「いやー、これは病みつきになりますねえ。次も誘ってください。」と燃え尽きるまで漕ぎきった者だけが知る緊張感と達成感と充足感に浸りながら、足を引きづりながらも笑顔で電車に乗って千葉に帰って行ったのでした。
カヤックでの長距離移動の旅、ロングディスタンスの世界は引き続きグランストリームでは提案し続けます。この次は若狭湾横断、島根半島から隠岐、沖縄から奄美等をやっていきたいと思っております。興味のある方は是非、まずは琵琶湖ロングディスタンスにご参加ください。お待ちしております。
高浜インフォメーション
https://www.youtube.com/watch?v=8BdHlKt6dZ8
https://www.youtube.com/watch?v=0tN8MTlyIi4&feature=youtu.be
https://www.wakasa-takahama.jp/umiasobi/caution.html