カナダ BC州でカヤックトレーニング(ついでにスキーも)中の大瀬ジュニア泰志(タイシ)のレポート。今回はウィスラー バックカントリースキー編です。
カヤックトリップでは決して見ることのできない景色を見た。今回のツーリングでは、少しだけど確かに、自分の世界が広がっていく感覚があった。
ここでは今回印象に残った場面をひとつ書き留めたい。
2日目Whirlwind peakを目指した時のこと。山頂にたどり着いたとき、急なホワイトアウトにより視界を奪われた。僕たちの間には言葉に出さなくても通じる、共通の緊張感が漂った。
天気も良く、これまで順調に進行していたので視界を奪われるまで、僕たちはどこか雪山を楽観視していたのかもしれない。もちろん、雪山にアクセスすることの危険性はわかっているつもりだったし、2人でここまで慎重に行動してきたつもりだった。ただ、意識と現実のギャップは想像以上に大きかった。アウェイの土地で視界を奪われることの怖さ。ものの1分でホワイトアウトしてしまう雪山の天候。そして地図上でイメージする地形とリアルの差。危険なのは雪崩だけではない。雪山に対する意識が明らかに変わった瞬間だった。
方向を見失わぬようにとなんとか滑り降りてホワイトアウトしている区間を抜けた時、太陽はいつもより暖かかった。
こうして自然を相手に旅をしていると、普段の生活で忘れている緊張感を呼び起こしてくれる。これはなんて贅沢なことだろうと、つくづく思う。
スキーはあと2ヶ月弱、そのあとはいよいよ本業のカヤック。死なないように、もっと深く自然を楽しむために、知識と経験を積んでいきますか。
(投稿 / 大瀬泰志)