琉球の船「サバニ」操船技術の伝承の旅


SABANI Team “ニヌハ”
サバニ / ニヌハ忠: 大城造船( 大城 清 氏/ 高良 和昭 氏)
帆 : 仲村 忠明作
写真;熊崎浩

大瀬の関わる我らの沖縄のサバニチーム「ニヌハ」は、子の端(ネノハ )、北の方向の端、極北を意味します。このサバニで北を目指し、航海することで何か人間にとって根源的なものが見えれば、それを皆さんにお伝えしていきたいと思います。

サバニについては、こちらの記事をご参照ください。

【サバニ】沖縄の伝統木造舟から海人の歴史とロマンを紐解く
https://thegate12.com/jp/article/242


写真;熊崎浩

「シーカヤックとサバニの師、仲村忠明」

我らがサバニチーム「ニヌハ」代表の 仲村 忠明 は僕にとって、元々はシーカヤックガイドの師匠でもある。西表から奄美大島まで、南西諸島エリアをメインにシーカヤックでガイドしていた仲村さんからサンゴ礁(リーフ)の海のカヤックでの旅(キャンプツーリング)、そしてカヤックで島から島へ海を渡る術を学んだ。仲村さんが沖縄の海で築いたガイディングを学んだ人間も多く、この30年ほどの日本のシーカヤックシーンでのガイディングの基礎を作った一人と言える。そしてその仲村さんがシーカヤック に並行して、取り組んで来たのが、サバニだった。


左:八重山型  ニヌハ2、右:伊江島 ニヌハ3。ニヌハ3は糸満型に近い


仲村さん制作の帆とニヌハ3。仲村さんの帆は鳥の羽からインスピレーションを受けていて流線形が美しい。

これまでに仲村さんが西表島、伊江島のサバニ大工とともに作ったサバニは三艇、沖縄から奄美の島渡りや、座間味~那覇の海峡横断レースに取り組んできた。サバニを作る事に関わり、自ら、帆、エイク(櫂)を作り、外洋を渡り、サバニ への理解を深めていった。僕は仲村さんからシーカヤックを学びながらも、サバニに関わることに躊躇していた。もちろん興味はあったが、シーカヤックとサバニは別物と考えていたし、サバニは沖縄の人達のものであり、内地の人間の僕が簡単に関われるものではないと思っていた。しかし九州から西表へのセーリングカヤックの旅では、仲村さんに作ってもらったサバニの帆とエイクを使用したということもあり、徐々にサバニ への距離が感覚的に近くなっていった。


糸満サバニ「ニヌハ忠」大城造船 制作

考えようによっては、一人の師匠から、シーカヤックとサバニの両方を教えてもらえるというのは、かなりラッキーな事なのではないかと考えるようになった。そして仲村さんの元でサバニに取り組み始めて5年。今のチームを作り、糸満に通い始めて3年。ついに今年の7月、糸満ハギのサバニを手にすることが出来た。この糸満ハギの「ニヌハ忠」は仲村忠明の今までのサバニ人生の結晶のようなものだと僕が勝手に思っている。そしてこのニヌハ忠でその名の「子の端」(ねのは/北の端)を目指し、旅できるのが楽しみでしょうがない。様々な人や仲間に支えられて、このスタートラインに立てた事に感謝の気持ちを忘れず、気持ちを引き締めてこれからの旅に向かいたい。(続く)